2020年7月12日日曜日

ついにマルタンヤンマを捕獲!!

4年前に偶然ネアカヨシヤンマのメスを捕まえたことをきっかけに、主に朝方と夕方の薄暗い時間帯に飛翔する習性のある、黄昏ヤンマと呼ばれるトンボがいることを知りました。そして黄昏ヤンマはどれも非常に美しい色をしていますが、生息場所が限られており、見つけることが難しい上、かなり高く飛ぶことから捕獲も難しいのです。

中でも日本で最も美しい色を持つとされるマルタンヤンマは、トンボ好きのみならず、昆虫愛好家の間では非常に人気のあるトンボです。

マルタンヤンマは飛ぶのが非常に速いギンヤンマよりもさらに速く飛びます。そして薄暗い時間帯に飛ぶので見つけにくく、高い所を飛ぶことが多いので、捕獲の難易度も最も高いと言われています。

2年前から本気でマルタンヤンマを捕獲することを目標に、情報収集やトンボがいそうな場所を探し始めました。探し始めてすぐ、ネアカヨシヤンマがいた遠方のポイントでマルタンヤンマのメスを捕獲したものの、同じ場所でオスを捕獲することができません。
近所の保護活動をしている里山でも昨年何度も探索をしましたが、マルタンヤンマの存在を確認することができていませんでした。しかし今年ついに新たなポイントでその姿を確認し、捕獲することに成功したのです。

マルタンヤンマは、里山の上空を直線的に往復していました。他のヤンマと飛び方が異なり、他のヤンマに比べて少し小さいので、なんとなくわかります。

最初は高く飛んでいたのですが、徐々に網が届く6mくらいの高さを飛ぶようになってきました。軌道上にスタンバイした息子が捕獲を試みるも失敗。
交代するか聞くと珍しく「いや、次は捕れる!」と自信ありげです。
そしてしばらくして、網を振るとその中にしっかりとトンボが入りました。
正確に軌道を読み、5mロッド全開で距離とタイミングをバッチリ合わせての捕獲は本当に見事でした。慎重に地面に伏せた網に駆け寄った息子は、
「やったー!!!!」
と雄たけびを上げてこちらに走ってきました。
その興奮ぶりを見て念願のマルタンヤンマが捕獲できたことを知り、二人で抱き合って喜びを分かち合いました。網の中にはいつかはこの目で見たいと憧れたコバルトブルーのトンボがいます。これほどまでに我々を魅了してくれたトンボに感謝です。



喜びも束の間、視界に黒い高速で飛ぶ影が目に入りました。
「何かいる!!」
急いでロッド網を手にとり臨戦態勢に入ります。
目の高さくらいを猛スピードで飛び回る飛翔体は、暗くなり始めた周囲の緑に溶け込み、視認は困難を極めます。必死に目を凝らすことしばし、こちらに向かってくる姿が目に入った次の瞬間、脊髄反射のように体が動き、網の中から聞こえる羽音を確認しながら、慎重に地面に網を伏せました。近づいてみるとそこには、まさかのマルタンヤンマ。
なんと親子連続でマルタンヤンマの捕獲に成功するという快挙です。



生物の色とは思えない輝く深い青の複眼や体の模様をじっくりと観察。
写真や動画をたくさん撮って、里山の空へ帰しました。
目標を設定してから4年、本気の探索から2年で実物のマルタンヤンマをこの目にすることができました。